研究ブランディング事業

都市東京の近未来

プロジェクトリーダー教員紹介

山道拓人(さんどう・たくと)

1986年東京都生まれ/2009年東京工業大学工学部建築学科卒業/2011年同大学大学院理工学研究科建築学専攻修士課程修了/2011~18年同大学博士課程単位取得満期退学/2012年Alejandro Aravena Architects/ELEMENTAL(チリ)/2012~13年Tsukuruba Inc.チーフアーキテクト/2013年ツバメアーキテクツ設立/現在,同社代表取締役,法政大学専任講師,住総研研究員

代表作に「下北線路街 BONUS TRACK」「ツルガソネ保育所・特養通り抜けプロジェクト」「天窓の町家-奈良井宿 重要伝統的建造物の改修-」「NHK Media Design Studio」「パナソニックのデザインスタジオ FUTURE LIFE FACTORY」など。受賞歴にU35伊東豊雄賞、グッドデザイン賞など。主な著書に「PUBLIC PRODUCE 公共的空間をつくる7つの事例」(ユウブックス)、「CREATIVE LOCAL: エリアリノベーション海外編」(学芸出版)、「シェア空間の設計手法」(学芸出版)など。


研究プロジェクト内容

photo:sandotakuto

(1) 研究プロジェクトの目的

これまでの都市は、住む場所と働く場所といった具合にエリア毎に用途を分け、人々が移動し続けることで発展してきた。建築単体に関しても同じで住宅/オフィス/学校etcというように基本的には、機能を分けることを前提としてきた。

コロナ禍に突入すると一旦、我々は職住近接の生活様式へ移行を余儀なくされた。家の中で働くことも当たり前となり、平日であっても一日の生活の大部分を徒歩圏で組み立てることになった。家の間取りの柔軟性、商店街や公園などグランドレベルの豊かさ、家族の単位を超えた地域ネットワークなどの重要性にも改めて気づく。

ひょっとしたらこういう暮らしは江戸時代には当たり前にあったのではないか、と想像する。

また、コロナ以前からではあるが、近年、古い町家や長屋などの空き家をリノベーションし、ワーケーション拠点にしたり、まち宿にしたり、二拠点居住をするようなプロジェクトも増えてきている。暮らすことと働くことの関係を調整したり、田舎からリモートで仕事をしたいという動機は世代を問わずに強まってきているように肌で感じていた。

今こそ、江戸時代に作られた暮らし方や空間的資源=コモンズの可能性を再考すべきタイミングなのではないだろうか。単に時代を逆戻りするのではなく、江戸と東京の可能性を現在にハイブリッドさせたような日本独自の都市論を展開することを本プロジェクトの目的としたい。

(2) 期待される研究成果

江戸時代から現代にかけて引き継がれた空間的資源には、町家や長屋、それらが集合する通りや両側町、街道沿いの宿場町、(あるいは町工場や商店街なども含め)、各スケールやタイミング毎に人々に共有されたある種のタイポロジーがある。

そして、いくら立派なものであっても、町家は耐震断熱性の低さによって空き家になっていたり、地方都市の宿場町は過疎化している、といったような状況にさらされているのをよく目の当たりにする。

(1)で述べたように、社会状況がシフトする中で発見された人々のニーズと、活用されていない空間的資源とを、うまく引き合わせた事例も見られるようになった今、それらを多面的に分析することで、実践的で汎用性の高い都市論を構築しようとしている。

具体的に想定される成果としては、

  • 職住近接の生活様式からみた町家的なタイポロジーの可能性
  • 商店街的な路地型の地域空間と、交通インフラの再編
  • 宿場町を観光地として再活用するまちづくり開発手法
  • これらをマーケティングやファイナンスの観点で考察する

といったようにスケールや段階毎に展開する実践論である。

(3) ブランディング戦略について

東京の中央(千代田区)に所在する本学は、江戸東京研究の拠点としてふさわしい都市での位置を占めており、さらに国際的シンポジウムなども開催できる施設を保有している。

研究者や設計者のみならず行政やデベロッパーなど実際に町の再編や運営、開発を担う人々に研究成果を直接届け、実践的なネットワークを構築していくことをイメージしている。研究や議論で止まらず実際のプロジェクトへと展開したり、各地域に働き掛けを行ったりすることも考えている。

西欧の都市とは異なる江戸東京の空間的資源を活用し、研究成果の社会実装を行う。本研究は実践知として都市研究として世界のなかでもユニークなものとなる。世界的ネットワークを持つ本学教員を中核として、本学は近未来都市を研究する東京ならではの世界的研究拠点となる。


各年度の年次目標及び実施計画

2017(平成29)年度

【目標】
国内における都市研究の重要拠点を本学に構築。目指すべき次世代型都市の策定。

【実施計画】
国内の次世代型都市研究のネットワーク構築。国内シンポジウムおよび展覧会等の開催。ウェブサイト開設。→東京研究に先行する東工大塚本研、横浜国大Y-GSAとの3大学共同研究を進めており、その成果を公表するシンポジウム・展覧会を企画している。

2018(平成30)年度

【目標】
国際的な都市研究者の招聘。研究作業チームの構築。

【実施計画】
研究報告書等の出版
→建築・都市の研究領域に関する国際的ネットワークを持つ研究員に招聘し国際的なシンポジウムを企画する。

(平成29年度外部評価及び自己点検・評価等をふまえた内容へ見直し後)
◇年次目標
  現代東京の都市空間は、江戸期からの都市基盤構造を受け継ぎながら、関東大震災(1923)、東京大空襲(1945)、そして1950年代半ばから続いた経済活動による都市更新によって大きく生成変化(metabolizing)しています。20世紀に世界中の都市が経済対応型の「現代都市類型」(ジェネリックシティ)につくり変えられているが、日本の社会状況(人口減少、少子高齢、経済停滞)によって、いち早く経済対応型都市構造から生活文化を重視する都市に変換する可能性を持っています。「都市東京の近未来」プロジェクトでは,世界の次世代都市研究拠点との連携、都市問題の確認、東京近未来研究の位置づけについて解明します。
◇実施計画
 「都市東京の近未来」プロジェクトでは、現代都市(ジェネリックシティ)の均質化と分断を社会的問題とする世界の研究機関と連携し、その問題群の解明をおこない、社会的視野も加えながら、江戸以来の固有の都市文化を示す東京という都市の実相を明らかにします。
  2018年度は、アメリカとヨーロッパの研究者を招聘し、7月に東京近未来都市研究をテーマとするワークショップ、シンポジウムを開催します。
  2017年度に行った共同研究・展覧会・シンポジウムの内容をもとに新たに論考を加筆し書籍化を予定しています。

◇成果指標と達成目標
研究会開催回数:4回
海外研究者との協働ワークショップ(学生参加):1回
海外研究者とのシンポジウム:1回
国際ワークショップ成果の展覧会:1回
昨年度に開催したイベントの書籍化の準備:1本
他大学や学外機関との協働作業やイベント開催回数:2回
(平成29年度外部評価及び自己点検・評価等をふまえ,具体的内容を再設定。)

2019(平成31)年度

【目標】
国際的研究ネットワークの構築。プロジェクトサイトの策定。行政とまちづくりの連携研究を行う。

【実施計画】
近未来都市研究の国際シンポジウム開催。
→国際シンポジウム開催。地方自治体、地域主体、協賛企業との共同研究。その成果の報告会。

(以下,平成30年度外部評価及び自己点検・評価等をふまえた内容へ見直し後) 

◇年次目標
国際的研究ネットワークの構築。プロジェクトサイトの策定。行政とまちづくりの連携研究を行う。

◇実施計画
5月に磯崎新氏、原武史氏、高山明氏を招聘し、東京の首都性に関わる講演会を実施した。この講演会に関連して東京近未来都市研究の連続レクチャー(全7回)を企画している。講演会、連続レクチャーの書籍化を検討する。

◇成果指標と達成目標
2019年度の年次目標は以下。
国際的なシンポジウム・講演会:1回
近未来都市研究に関わる連続レクチャー(全7回)
昨年度に開催したイベントの書籍化:1本 

 (以上,平成30年度外部評価及び自己点検・評価等をふまえた内容へ見直し後)

2020(平成32)年度

【目標】
国際的研究ネットワークの構築。
行政と連携して新しい都市建築の地域タイポロジーの検証。

【実施計画】
研究報告書等の出版
→関係共同機関と共同のシンポジウム、展覧会、出版。

2021(平成33)年度

【目標】
新しい都市建築の地域タイポロジーの社会実装

【実施計画】
近未来都市国際会議開催。新しい都市建築の地域タイポロジーの社会実装
→ 研究成果としての近未来型街区(都市建築)のプロトタイプを社会実装する。


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