江戸東京研究センター設立記念国際シンポジウム
English announcement is available at the here.
法政大学市ヶ谷キャンパス外濠校舎7階薩埵(さった)ホール
主催:法政大学江戸東京研究センター
既に江戸後期から、そしてとりわけ明治維新以降に、江戸東京を決定的に性格づけているのはモデルニテである。それは西洋から余儀なく移入されたものであるが、江戸東京はそれを脆弱にではなく、したたかに、しなやかに受け容れてきた。西洋のモデルニテは、江戸東京の生来のレジリ エンスによって大なり小なり相対化され、そこに根付いていったのである。パネルではレジリエンスの実態に触れつつ、江戸東京のモデルニテの姿を探っていく。
明治維新は日本という国家のシステムをヨ ー ロッパ文明の社会システムに切り替えた切断面であり、この切断面によって鏡面のように江戸と東京をみることもできるが、同時に江戸と東京を横断する概念も生まれる。ヨ ーロッパに生まれ、20世紀の都市建築の中心的コンセプトであったモダニズムを相対化することから、東京という都市の近未来のイメージを探る。
世界のどの国、どの地域でも、都市は水と密接に結び付いて形成され、発展した。特に、江戸東京は 水と共生する都市であり、水都ならではの経済、文化、感性をおおいに発展させた。しかし近代化・ 産業化によって、水は汚染され、人々の関心から消えた。1980年頃から価値観は再び変化し始める。ポスト工業化社会、文化創造都市へ。自然との共生へ。水が人間や社会にもたらす新たな価値を発見し、付与すること。水の都市・地域の再生のための哲学、ストラテジーとは?
日本が成熟社会を迎えた1980年代、東京でも都市の個性、文化的アイデンテイティ を求める気連とともに、 江戸東京の歴史への関心 が高まり、 「江戸東京学」が生まれ、 広がりを見せた。海外の人々も、 それまでの世界の都市モデルとされてきた西洋の都市とは異なる独特の姿、仕組みをもち、ポストモダンの価値観とも合致する東京に、大きな関心を向け始めた。
その後、日本は人口減少、高齢化社会の状況を迎え、従来の高度成長型の開発志向の強い都市の在り方に関しては、価値観の大きな転換が必要となってきた。
そして今、益々強まるグローバリゼーションの進展に対し固有の文化力を発揮するためにも、また、大きな課題である持続可能な地球社会を実現するためにも、江戸を下敷きにする独自の歴史に裏打ちされた東京らしい都市の近未来像を描くこと が求められている。
こうした状況の下、 江戸東京研究の先端的・学際的拠点として、法政大学に「江戸東京研究センター」が設立された。本学には、日本文化の特質に関し国際的共同研究を積み重ねてきた「 国際日本学研究所」と、 東京の都市の特徴を歴史とエコロジーの立場から国際的に比較研究してきた「エコ地域デザイン研究センター」によるこの分野の大きな研究蓄積 がある。これら2つの研究組織が協同し、「江戸東京研究センター」が誕生した。1980年代に生まれ、やや停滞気味だった従来の「江戸東京学」を現代的視点で乗り越え、都市東京のユニークな特黄を生み出す基層構造をハー ドとソフトの 両面から解き明かし、 西洋型の都市モデルとは異なる、21世紀に相応しい都市の 在り方を研究していく。
「江戸東京研究センター」の設立を記念して開催されるこの国際シンポジウムでは、 国内外の様々な分野の専門家・論客とともに、江戸東京の歴史から学び、そこに蓄積された知恵、資産の価値を新たな視点で掘り起こし、日本発の近未来都市像を描き出すことを目指したい。
陣内秀信(法政大学江戸東京研究センター長)
※ 東京マラソンに伴う交通規制により、時間にゆとりをもってご来場ください。 地図に表記した出口のご利用をおすすめします。