シンポジウム・研究会等報告

2021年8月28日 シンポジウム「玉川をめぐる名水と歴史と景観~『中世武蔵国絵図』の読み解き~」開催報告

  • 更新日:2021年10月27日

開催報告

法政大学江戸東京研究センター・法政大学エコ地域デザイン研究センター
                      客員研究員 神谷 博

 

2021年8月28日(土)、シンポジウム「玉川をめぐる名水と歴史と景観」~『中世武蔵国絵図』の読み解き~を開催いたしました。リモート開催とし、2部構成にして、第1部は事前配信し、第2部をシンポジウムとパネルディスカッションとしました。事前申込者は140名(8月2日時点)で、当日第2部参加の最大数は97名でした。

このシンポジウムは、2020年11月11日に「サバイバルエコロジー」と題して、神谷博法政大学退任記念「環境生態学」特別講義を行いましたが、その続編にあたるものです。時間がとり切れずに歴史部分をカットしたため、それを今回フォローしました。また、シンポジウムは、2019年3月23日に実施した江戸の基層シンポジウム「古代・中世の府中から武蔵國を探る」を継承するものとしても位置付けていました。「中世武蔵国絵図」については、申込時に希望者に郵送を行いましたが、用意した100部がはけ、ほぼ残部はなくなりました。

主催は、法政大学江戸東京研究センター及び法政大学エコ地域デザイン研究センターですが、共催として国分寺名水と歴史的景観を守る会が加わり、後援に多摩川流域懇談会、野川流域連絡会、みずとみどり研究会、多摩川センターの4団体が加わりました。

【プログラム】

第1部<事前配信>「中世武蔵国絵図」の解説(神谷博特別講義続編)(YouTube動画限定公開)

名水と歴史的景観の保全をめぐって/中世武蔵国絵図の解説/玉川源流の伝承:畠山重忠と玉姫の物語/玉姫神楽公演

 第2部<ライブ配信>8月28日(土)14:00~16:00パネルディスカッション

「中世武蔵國における玉川と国府・国分寺」~歴史的景観と伝承をめぐって~話題提供と意見交換

 登壇者:小野一之(大東文化大学非常勤講師)「古代と中世/多摩川と玉川」/依田亮一(国分寺市教育委員会)「恋ヶ窪の中世遺跡と畠山重忠伝承」/神谷 博(法政大学江戸東京研究センター客員研究員)「武蔵野景観考」/コメンテーター:陣内秀信(法政大学名誉教授)

まとめ

 参加者も多く、絵図にも高い関心が寄せられ、パネルディスカッションもよい意見交換ができました。府中や国分寺に残る中世の伝承について掘り下げた議論ができたことで、「伝承」の持つ現代的価値を再認識する機会となりました。反省点としては、リモート開催のネット環境が不十分だったことで、パネルディスカッションの内容が聞きづらかったとの反応がありました。成果としては、ETOSの水都プロジェクトの一環である江戸基層研究と、エコ地域デザイン研究センターの府中玉川プロジェクトに跨る研究企画として継続できたこと、及び地域の自治体及び市民団体との連携を深めることができました。中世江戸基層研究としては、今後の課題として関八州を視野に入れた取り組みを継続し、深める必要があると感じました。

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