江戸東京研究センター 第3研究プロジェクト主催ワークショップ「テクノロジーと東京」
■日時:2019年3月30日(土)10時00分~18時00分(予定)
■会場:法政大学 市ヶ谷キャンパス ボアソナードタワー25階 研究所会議室5
■タイトル:「テクノロジーと東京」
■概要:
屋内・屋外、個人・共同体、運動・静止、仕事・余暇、生産・消費、健康・病気、ハード・ソフト、自然物・人工物など、どのように異なる範疇を想定しても、人間がモノ(モノとしての人間、モノとしての記号も含む)に関わる限り、そこには必ずテクノロジーの関与があります。そして、テクノロジーはそれとしてはユニヴァーサルなものですが、それを生み出す仕方、あるいはそれを用いる仕方には、時と場所とで違いが生じてきます。こうして、東京にも、テクノロジーの、東京ならではの特徴的な存在の仕方が、ポジティブにもネガティブにも認められていくでしょう。経済性や効率のチャンピオンであるということだけでなく、東京がそれ以上に文化的にも魅力があったり、なかったりするのを陰で演出しているのも、何より、このテクノロジーではないかと考えます。このような観点から、テクノロジーと東京との関わりを、様々の領域に属する様々な問題に即して論じます。
■登壇者(登壇予定順・敬称略),テーマ及び要旨(順次web掲載予定)
陣内秀信(法政大学、建築史)
テーマ「交通体系の変化と東京の都市構造の変容」
東京は江戸時代よりモビリティの高い都市であり続ける。そのため、交通体系の変化が都市空間の在り方に大きな影響を与えてきた。舟運から鉄道への変化、路面電車の登場と廃止、地下鉄の発展と路線拡大などにより、東京の都市機能、特に盛り場、繁華街、文化発信スポットが大きな変化を見せた。東京の変化を読むのに交通手段が鍵になる。
岩佐明彦(法政大学、都市計画・建築計画)
テーマ「効率の最大化によって変質する都市空間」
自動車交通の発展は都市の使い方,しいては建築・都市の形状を変質させてきた.
特にパーソナルモビリティとして自家用車が活用される都市郊外では,ロードサイドショップや大型商業施設が自動車利用の利便性を追求することで,自家用車を媒介としたひとつながりの生活圏が形成されている.こうした圏域を「インドア郊外」として対象化し,そこでの人々の振る舞いや公共性について紹介する.
鈴木勇一郎(立教大学、日本近代史)
テーマ「社寺参詣と近代東京の電鉄」
20世紀の東京において都市の郊外への拡大に大きな力を果たしてきたのが電鉄である。電気鉄道は当時の欧米でも最新のテクノロジーだったが、東京の初期の電鉄は、社寺参詣と深く関わりながら形成されてきた。これは同時代の欧米の大都市と比べて特徴的だ。そうした初期の電鉄が通勤通学輸送機関へと変容していく過程を具体的に検討し、20世紀の東京の都市形成に与えた影響を考えたい。
北山恒(法政大学、建築)
テーマ「メタボリズムと東京」
1960年代、高度経済成長期のなかで、テクノマニアックな都市イメージとして日本から発信された「メタボリズム」はどのように評価され世界のなかで位置づけられているか。レム・コールハースが2012年に出版した「PROJECT JAPAN」のなかでこのメタボリズム研究を行い、現代的意味を与えている。そして東京という都市の現在は資本とテクノロジーが緊密な協働をとって自動機械のように都市風景を生産している。
高村雅彦(法政大学、建築史)
テーマ「奪われる自由と創造される空間」
「始原の小屋」に始まる建築のテクノロジーは、そののち好き嫌いに関わらず人間の自由を奪うと考えられてきたが、そもそもそれは視覚だけでない触覚や聴覚などの感性と一体となって都市空間に存在し続けたものであって、加えて近年のコンピュータ技術による新しい概念の掌握を促し、東京のような巨大で複雑な大都市にあっても、再び新たな創造の始原を呼び起こしている。
岩井桃子(横浜国立大学、パブリックアート)
テーマ「まちに眠るテクノロジーの記憶を探る」
現在、とあるプロジェクトを通じて東京・清澄白河のまちとの関わりを続けている。小名木川の開削、貯木場の開設、産業エリアとして発展、そして近年においてはアートやコーヒーなど、清澄白河のまちは時代を経て様々な記憶を内包しながら発展してきた。まちの表面からはなかなか見られない記憶を、ここ数年の都市の動きを追いながら探っていきたいとおもう。
白石さや(東京大学/岡崎女子大学、文化人類学)
テーマ「人間とテクノロジーのインタラクションをデザインする:シリコンバレーと東京」
人間とテクノロジーのインタラクションをデザインするにあたり、シリコンバレーは主要にはメッセージを生み出すフレームワークを提供してきた。そこではユーザーは誰もが誰にでも話しかけることのできるデジタル世界を体験する。一方で、破壊と再生を繰り返してきた江戸東京は、自己を表現する都市である。テクノロジーの凝集した高層ビル街の勇姿だけでなく、その破壊のプロセスさえも、美の創造の材料としてしまう。
石井千春(法政大学、ロボット工学)
テーマ「江戸時代の科学技術と現代のロボット」
江戸時代にける、機械工学と電気工学を代表する科学技術として、「からくり人形」と「エレキテル」が挙げられます。本発表においては、これらの技術を紹介すると共に、その進化である現代のロボットとして、本研究室でこれまでに開発してきた医療・福祉ロボットを紹介します。また、2020年には東京オリンピックが開催されます。オリンピック開催に対する現在の取り組みについてもお話しする予定です。
田中和生(法政大学、文学評論)
テーマ「テクノロジーとしての文学言語」
近代以降、日本語による多くの文学作品で東京が舞台となってきた。震災や戦争といった出来事を通じて変貌していくその東京の姿は、言葉と物を一致させようとするリアリズムだけではなく、現在にいたるまでさまざまな文学言語で記述が試みられてきた。そうした記述から、東京の諸側面を読み解いてみたい。
■プログラム(予定):
パネル1《交通》
司会:安孫子信(法政大学)
10:00-10:40 陣内秀信(法政大学)
10:40-11:20 岩佐明彦(法政大学)
11:20-12:00 鈴木勇一郎(立教大学)
休憩 12:00-13:00
パネル2《建築》
司会:山本真鳥(法政大学)
13:00-13:40 北山恒(法政大学)
13;40-14:20 高村雅彦(法政大学)
14:20-15:00 岩井桃子(横浜国立大学)
休憩 15:00-15:10
パネル3《テクノロジー》
司会:安孫子信(法政大学)
15:10-15:50 白石さや(岡崎女子大/東京大学)
15:50-16:30 石井千春(法政大学)
16:30-17:10 田中和生(法政大学)
全体討論 17:15-18:00
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■交通 飯田橋駅,市ヶ谷駅より徒歩10分
【キャンパス・交通案内】
http://www.hosei.ac.jp/access/ichigaya.html
■主催 法政大学江戸東京研究センター
■入場料 無料
■参加申込 不要
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■お問合せ先
法政大学江戸東京研究センター事務室
E-mail: edotokyo-jimu@ml.hosei.ac.jp
TEL : 03-3264-9682
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