研究ブランディング事業

ブランディング戦略

① 将来ビジョン

1) 〈法政大学憲章〉と3つのミッション

万民の権利と自由を重んじるフランス系の法律学校として設立された本学は、大学令のもと総合大学となった大正期以降、夏目漱石の門下生らによって、社会のさまざまな人びとへの共感に基づく自由な思考と行動を重んじる「自由と進歩」の校風を発展させ、早くより世界を視野に入れた〈実践知〉を育んできた。その社会性の強さ、アカデミックであることよりも社会とのつながりを重視する校風は、他大学と比較した上での本学の特徴となっている。そうした視点から考えたとき、環境問題としてだけでなく、社会や文化の多様性の尊重も含めた広い意味での持続可能性への取り組みがまず全学を挙げて向きあうべき課題として浮かび上がり、またそのことに本学が取り組むことは、現代日本社会のニーズとも合致すると分析している。

このように、法政大学は人びとの権利を重んじ、多様性を認めあう「自由な学風」のもと、公正な社会の実現をめざす「進取の気象」を育んできた。建学以来培ってきたこの精神を受け継ぎ、本学のミッションとして「1.『自由と進歩』の精神と公正な判断力をもって、主体的、自立的かつ創造的に、新しい時代を構築する市民を育てること」「2.学問の自由に基づき、真理の探究と『進取の気象』によって、学術の発展に寄与すること」「3.激動する21世紀の多様な課題を解決し、『持続可能な地球社会の構築』に貢献すること」を掲げた。

そのミッションを社会に向けて表明すべく、「自由を生き抜く実践知」を標語とする〈法政大学憲章〉を平成28年4月に発表した。ここでいう「自由」とは、新しい社会を構築するために主体的かつ自立的にものごとを考え、多様な立場に立って公正な判断を行い、新たな価値を創造できることを指し、〈実践知〉とは、倫理的志向をもって根源的に社会の課題を考え、どこの誰にとっても、あらゆる意味で生きやすい社会をつくるために、それぞれの現場でその方法を柔軟に探索する知性を意味している。つまり、理想に向かって主体的かつ能動的に活躍する、自由を貫きとおす市民を輩出する大学として、世界における市民教育の拠点となり、基礎研究とともに実践的研究成果によって、民主的で力強い持続可能社会を創造する源泉となることを社会に約束したのである。

2)〈HOSEI2030〉と将来ビジョン

本学では、これに先だつ平成26年度から平成28年度のあいだに、平成42年の2030年に向けた大学のビジョンを確立するために〈HOSEI2030〉策定委員会を設置した。そこでは、ブランディング戦略のもと上述の憲章とミッションを掲げ、その一貫した理念のもとで「教育」「研究」「社会貢献」の各ビジョンを設定するに至った。

まず教育では、主体性、能動性、創造性、思考力、判断力、実行力の育成を目指して、「1.キャンパスの有機的連関を基盤にした総合大学になる」「2.充実した『学び』を約束する市民教育の拠点になる」「3.地域の多様性が有する価値を熟知しつつ、グローバルに思考する能力を育てる」「4.持続可能な地球社会の構築を目指す教育の拠点になる」「5.世界中の人々が、日本を総合的に学ぶ場となる」の5つを掲げている。

次に研究では、新しい実践知の創造と提唱を目指して、「1.持続可能な地球社会の構築を目指す研究の世界的拠点となる」「2.国際的評価を有するユニークな研究拠点のさらなる発展を図る」「3.持続可能な地球社会の構築に貢献する基礎研究に力を入れる」「4.実践知を生かした応用研究分野で世界を牽引する」「5.課題解決の研究拠点から、有為な研究者を輩出する」の5つを設定した。

さらに社会貢献では、社会全体の市民教育に貢献し、民主的で力強い持続可能社会を創造することを目指して、「1.『持続可能な地球社会の構築』の社会におけるセンターとなる」「2.『持続可能な地球社会の構築』への提案を発信するためのセンターとなる」「3.地域の力を引き出す大学となる」「4.世界中の人々が、高度な市民教育を受けられる場となる」「5.学生のピアサポートと校友ネットワークを世界的に展開する」の5つをビジョンに定めた。

3)本事業の位置づけ

江戸東京研究の先端的・学際的拠点の形成を目指す本事業は、本学の「教育」「研究」「社会貢献」のすべての将来ビジョンの実現に向けて構想されたものである。

まず、教育ビジョンにおいては、本事業が市ヶ谷・小金井・多摩の3キャンパスを有する総合大学としてのブランド力をよりいっそう強化することにつながる。本事業のテーマは、3キャンパスそれぞれが江戸東京の自然的環境・社会的環境の多様性を体現する立地にあることを最大限重視し、教員・学生が市民とともに持続可能な地球社会の問題を学びつつ現実の諸問題に活用できるようにとの目的で考案された。一方で、本研究の水都-基層構造、江戸東京の「ユニークさ」、テクノロジーとアート、都市東京の近未来の4つのテーマは、いずれもそれぞれの地域の多様な価値を掘り起こす作業でもある。同時に、法政大学で学ぶ多くの留学生が東京での学生生活を充実したものにするためには、江戸東京を理解することが不可欠であり、外国人教育にとっても効果が期待できるだけでなく、江戸東京を学ぶための世界拠点となることを目指しており、スーパーグローバル大学創生支援(SGU)事業に採択され、現在展開している国際教育をはじめとする教育ビジョンのすべてと合致している。

江戸東京研究によって独自色を打ち出そうとする本事業は、研究のビジョンとも一体である。研究組織の主体的役割を果たすエコ地域デザイン研究センターは、長年東京をフィールドとして地道な研究をすすめ、日本国内はもちろんのことヨーロッパやアジアの都市とのネットワークを作りあげつつある。それを生かしてより密にしながら研究を推進することで、持続可能な地球社会の構築を目指す研究の世界的拠点となることを目指すビジョンを具現化することができる。加えて、もう一つの主体である国際日本学研究所は、日本を研究対象として内と外の視点から分析してきたが、その方法論は対象を江戸東京に絞った本事業においてとくに有効である。エコ地域デザイン研究センターは理系の、国際日本学研究所は文系の研究者がそれぞれ所属するが、両者の組み合わせにより、人文・社会・自然諸科学による持続可能社会を目指した研究を統合する道が開かれる。しかも、どちらの主体も基礎研究を重視する組織であり、持続可能な地球社会の構築を実現するビジョンを長期的視野をもって根源的に構想するにふさわしい。かつ、対象を江戸東京という空間に絞りながら、そこに古代から現代までの時間軸を挿入して、その成果を世界に発信するというユニークな研究拠点の発展性が望まれる。同じく、東京の過去に学び現在や未来を考察するという本事業のテーマ自体が、現在の東京の諸問題に直結していて、本学らしい〈実践知〉を生かすビジョンにつながる。さらに、2つの研究主体は、すでに学部・大学院との関係を図り、とりわけ大学院生の研究を組織的に支援することで、優秀な博士課程の修了者を輩出しており、それをさらに促進する機会となる。国際日本学研究所は、外国人研究者や留学生を積極的に所員として受け入れ、優秀な研究者にヨーゼフ・クライナー賞を授与する活動を行っていて、より多くの研究者を輩出するというビジョンの実現を推進することができる。

法政大学は社会人の学びの場としてのフロントランナーであることを自負しているが、今後はその機能をさらに広めることを重視している。持続可能な地球社会の構築という教育と研究のビジョンを実現するため、本事業の拠点形成は社会におけるセンターの確立そのものであり、提案を発信するための基地となる。東京オリンピックを控えた今日、東京は世界中の注目を集めている。都民のみならず、日本国内の人々、そして世界の人々が東京に興味を持っているいま、東京について学びたいという希望を持つ社会人のニーズにこたえるのが本事業の目標でもある。すでに、エコ地域デザイン研究センターでは、千代田区や日野市と連携、また本学の学生や教員に加えて地元の企業や商店街、中高生から構成される「外濠市民塾」を立ち上げ、地域の力を引き出すビジョンに合致した活動をおこなっており、本事業によってさらにその成果を目に見えるものにすることが可能である。

以上、本事業の独自色の内容は、本学が平成28年からすでに教育・研究・社会貢献のビジョンとして打ち出している事項の実現に合致し、その明確な位置付けが獲得できるよう詳細に計画されたものである。

4)ビジョンと独自色の学内周知

〈法政大学憲章〉ならびにミッション、将来ビジョンは、いずれも本学ホームページのトップ画面にバナーを表示し、容易に閲覧できるよう工夫しており、学内外に周知している。また、学内の各種冊子や掲示板、受験生向け大学案内などにも明示している。加えて、それらを策定した〈HOSEI2030〉の会議に関しても、本学ホームページに特設サイトをつくり、策定に至ったプロセスや概念図、ロードマップなどを学内者限定で詳細を公開し、アクションプランもダウンロードできるようにしている。こうした印刷媒体、インターネット媒体のほか、平成26年7月から現在まで、学内の教職員全員に進捗状況をその都度ニューズレターの形でメール配信し、これまでに19号を数えている。こうして、学内外にビジョンを広く周知して本学の未来像を明確に表明している。

一方、独自色の内容については、平成28年11月25日以来、5回にわたる研究ブランディング事業ワークショップを開催して、国際日本学研究所ならびにエコ地域デザイン研究センターの各研究者、サスティナビリティ実践知研究機構の職員の間で認識を共有したのち、5月19日のサスティナビリティ実践知研究機構会議、さらに5月22日に本学研究の最上位組織にあたる研究総合本部会議にて持回り審議による合意形成をおこなった。また、5月17日の常務理事会、5月24日の理事会で審議し、それを経て、5月25日学部長会議、翌26日部長会議を通じて全学的に本事業が周知された。

② 事業対象の検討内容

(以下、文章中のステークホルダーは太字で記す)

江戸東京研究の先端的・学際的拠点形成を目指す本事業は、まず第一に学術界への寄与として、その研究成果を発信し続けることが学問上の想定される効果である。江戸東京研究を理工学系も含めて総合的かつ学際的に推進している学術研究機関や教育機関は存在しないため、本事業が江戸東京研究を世界的にリードすることを目指しており、実現の可能性はきわめて高い。

次に、江戸東京博物館をはじめとする東京都内の博物館美術館、郷土資料館等とのネットワーク構築を初年度からの研究計画に組み込んでいて、様々な研究関連機関との連携を検討している。

また、江戸東京を主題とした研究を行う大学というブランドの認識が広がることにより、東京近郊の受験生はもちろん、地方在住の受験生に対しても、東京で生活しながら学び研究できる本学の優位性をアピールできる。一方、在学生に対しては自らが生活する場所としての東京に関心を持たせ、地元や自校、ひいてはそこで学ぶ自己に対する肯定的感情、さらに学習意欲を高めさせると同時に、多くが東京に就職する卒業生に対しても校友会の会報や様々なネットワークを通じてある一定の母校愛を喚起できる。

さらに、地域住民に対しては、江戸東京研究が進められることで、地元への深い興味や理解が促されるとともに、大学と地域との交流が深まる。とくに、本事業の主体のひとつであるエコ地域デザイン研究センターがすでに進めている「日野塾」や「外濠市民塾」といった活動では、本学の研究者や学生だけでなく、地元の町会や商店街、自治体、企業、中・高校が一体となったプロジェクトが複数あり、それを基盤としながら本事業によってその連携のいっそうの強化を図り、地域全体に成果が寄与できるものと確信する。このように研究活動では、広く複合的なステークホルダーが対象となる。

本事業による成果は、文化力のアップや江戸東京のブランド化に直接つながるものであって、本学のブランド戦略に最も寄与するテーマとなる。その特性を見出すために、こうした多様なステークホルダーと連携しながら協同して事業を進めることが目標となる。このことは、江戸東京研究がたんに学術界に寄与するだけでなく、それを社会に還元して、同時に様々な対象者がともにその価値を自覚しながら地域社会の構築に貢献するための基礎的研究となることを目指すものである。
 

③ 大学のイメージ

本事業を通じて浸透させたい法政大学のイメージは、〈法政大学憲章〉が掲げる「自由を生き抜く実践知」を生みだす学府である。学際的な柔軟な発想で江戸東京研究を先端的に牽引し、誰もが暮らしやすい都市の未来を構想する大学、そしてそうした憲章の理念を身に着けた人材をも育成する大学というイメージを普及させたい。

そうしたイメージを確実に形成するため、学術界や研究関連機関に対しては、江戸東京という対象を前に自由な発想と健全な批判精神をもって自由に研究できる大学であることを標榜する。また、受験生とその保護者に対しては、地元東京に即してその強みと課題を知り、地域に貢献できる力を身につけることで、そこで得たものを国内外のあらゆる地域で生かすことのできる大学であることを示していく。さらに、在学生および保護者、卒業生に対しては、江戸東京研究を通じて持続可能な世界の未来に貢献しようとする大学として認知を促す。とくに、留学生に対しては、日本の他の都市にはない「学都」としての歴史ある東京の利点を実感しながら学び、帰国後に世界の各地で生かせる経験ができる大学というイメージを植え付けたい。最後に、上記のステークホルダーに加えて、住民や自治体、企業、学校など地域全体、そして日本社会、世界に対し、江戸東京研究を通じて、過去から学び現在と未来のよりよい東京像を描く大学としてのイメージを伝播させていきたい。

④ 現状把握・分析内容

本学は、平成26年度に開始した〈HOSEI2030〉の策定を経て設置されたブランディング戦略会議が「Stage1 ブランディング準備作業」「Stage2 調査分析・基本戦略構築」「Stage3 ブランドの確立」「Stage4 ブランド基本戦略の実行」の4段階を設定し、〈法政大学憲章〉に謳う「自由を生き抜く実践知」のブランド確立に向けて目下Stage4のアクションプランを実行中であり、その基軸の一つとして本事業が計画された。

とくに、Stage2で実施した分析の結果は、本事業を計画する際の基本条件となっている。

まず基礎分析では、大学史の検討や学内外に向けて刊行していた言論誌「法政」の分析などから、独立自由な人格を育て、進取の気象に富み、社会の課題解決に向けた学究、開かれた知・万人のための教育といった将来も引き継ぐべき法政大学の伝統が示され、本学の現在の教育研究と一致していることも確認された。一方で、マスメディアや受験業界誌等の記事、本学が実施してきた新入生や保護者アンケートなどからは、伝統校ながらも特定のイメージの希薄な大学として認識されていることがわかった。

加えて、総長を筆頭に学内キーパーソンの教職員6名、有力卒業生の6名からそれぞれインタビューをおこない、社会的課題解決のための研究教育を推し進め、総合大学の学際的な特性を生かして世界水準の教育研究を促進するべきといった共通する意見が聴取された。これと併行して、ブランディングの方向性を見定めるために3キャンパスの教職員による全学ワークショップを8回にわたって開催している。

平成26年12月には、アンケート調査を実施して本学のイメージを総合的に分析している。専任教員426名、専任職員366名、在学生203名から、現在感じる法政大学の学風や特色、現在の学生のイメージ・印象、将来(2030年頃)強化すべき学風や特色、将来(2030年頃)輩出すべき学生像、理想的な法政大学を実現するための取り組み、理想的な法政大学像について回答を得た。その結果、現状評価では、どの対象もが本学を「伝統のある」「自由な」大学であると8割以上が認識していることが明らかになった。将来像では、どの対象にも共通して「自由な」学風を将来にわたって堅持するべきとし、「自分の頭で考える学生を輩出する大学」「課題解決のための知がある大学」を目指して「リーダーシップのある」「グローバルな」「行動的な」「社会問題に関心のある」学生を育てることを求めていることが示された。また、理想的な法政大学を実現するための取り組みの中で、まさに本事業に適合した「プロジェクト型の授業・ゼミの実施」が最も重視されていることも明らかになっている。

これらの分析結果から、「自由を生き抜く実践知」を掲げた〈法政大学憲章〉に基づき、誰にとっても生きやすい持続可能な都市と社会のあり方について、江戸東京をモデルとして、学際的な研究体制のもとで、国際的な視座・視点も加えながら探究することが、世界を視野に地域の課題解決に貢献する本学のブランドイメージを牽引するにふさわしいことが浮かびあがり、本事業を計画するうえでの基本条件となった。千代田区に本部があり、多摩・小金井にもキャンパスを持つ本学の持つ、東京中の多様な立地の利を生かして、誰にとってもわかりやすい「江戸東京」のイメージ喚起力を活用しつつ、多様な社会課題に向きあう大学イメージを打ち出すことができるのである。

卒業生に対しても、本事業は狭い母校愛を強調することなく、地域社会、国際社会に貢献する大学としての法政らしさをアピールすることで、いっそうを誇りをもてる存在となる契機となるはずである。

研究対象の設定にあたっては、とくに平成27年3月14日の全学ワークショップで、本学が研究を通じて社会に提供する価値について「文系と理系をつなぐ領域としての都市」「江戸文化」「地理」「現代思想」「都市型社会論」といったキーワードが出されたことをふまえ、それらを包括して法政大学のブランドイメージを形成、発展させるにふさわしい内容として本事業を設定している。

⑤ 情報発信の手段・内容

まず平成29年度中に、既に聴取した事前ヒアリング協力者からの意見を考慮し、(仮称)江戸東京研究センター専用のホームページを開設し、事業体制に関わるインフラを早急に整備する。研究活動を実現するために連携が必要な学内外における当該研究者の有機的な協同関係ならびに情報発信をともなう国内外の博物館や他研究所等とのネットワークのそれぞれの構築を図る。また、本学の広報とグループリーダが連携して、このホームページに研究成果を逐一報告する。さらに、海外との協同研究を重点的に進める平成32年度を見込んで、初年度の段階から英訳を併記し、江戸東京研究を本学のブランドとして世界に位置づけるための情報発信を開始する。

次に、小規模なシンポジウムや研究会のほかに、毎年度末に一般向けの重点シンポジウムを開催し、研究成果を広く公開してブランド発信をおこなう。とくに、平成32年度には、総長室主管でブランディング事業の一環として設置準備が進められている法政大学ミュージアムにおいて江戸東京研究の特別展を企画し、法政大学における本事業の取り組みを広報し、ブランド形成にとって一翼を担うイベントを開催する。

毎年度、成果を学会誌等に投稿し、蓄積された後に報告書を作成するだけなく、平成33年度の最終年度には、英訳付きの『江戸東京の都市と地域の資源事典(仮)』、江戸東京の持続の秘密を解明する研究の成果物として『江戸東京持続の秘密を解く(仮)』を刊行し、一般に向けて総合的な成果を広く情報発信する。

同じ最終年度までに、実践的なアクションプランとして、環境・文化インフラとして水辺をつなぐ「歴史エコ廻廊」や「グリーンインフラ」に関する図を策定し、サブカルチャーなど新たな東京のイメージや庭園(大学内、ホテル内も含む)、特徴ある水辺・緑地を表現したマップを作成し、江戸東京の特性を活かした様々な構想を提案、公開して、本事業で確立したブランディングを高度化させ発信する。

総じて、学会発表、シンポジウム、報告書は主に学術界に対しての情報発信であるが、マップや書籍は広く一般向けであり、「日野塾」や「外濠塾」といった活動では、研究会、公開講座、実地見学会、地域交流会など、地域に関わるすべての対象に向けて情報を発信する。また、受験生や在学生に対しては、本事業のイベントの告知をホームページ、ポスター等でおこない、フライヤーを作成してオープンキャンパスなどで配布し、本学が江戸東京研究を推進して社会の課題解決に貢献する大学であることを広く公表する。さらに、卒業生に対しても、各種同窓会報やホームカミングデーなどのイベントを通して、本事業の成果を周知し、ケースによっては協力を求めていく。

⑥ ブランディング工程

ブランディングの工程は、平成29年度の事業インフラ整備に始まり、平成30年度の連携活動を主体とする事業参加拡大、平成31年度の市民・一般の参加拡大によりブランドの認知を促進し、平成32年度に海外連携を強化して、平成33年度に研究を総括しつつ深化・全面展開を図り、江戸東京研究を本学のブランドとして国内外に広く浸透させることで拠点形成を実現する。各年度ごとの研究活動とブランディング戦略の目標、情報発信の方法について、ステークホルダーごとに以下の表に示す。

江戸東京研究の最先端・学際的拠点形成のブランディング戦略

⑦ 成果指標と達成目標

【平成29年度】

本事業の認知のために、学内外における広報活動と会議・シンポジウムの開催、また事業全体の達成度を測るための評価委員会の設置により、全体計画と評価体制の情報を広く発信するとともに、事業体制に関わるインフラを早急に整備することが達成目標となる。認知のための具体的な作業としては、ホームページ作成およびシンポジウム開催による本事業開始の公表のほかに、博物館や他研究機関に対してネットワークを構築して協力を要請するための会議開催、学内外の研究者に対して協同研究の呼びかけや事業内容の告知、研究活動をともにおこなう地域住民への事業説明会の開催が主となる。

評価主体となる自己点検・評価委員会と外部評価委員会から、全体計画と運用に関する評価を早急に受ける。毎年度実施される評価は、次年度の最初に受けることとし、改善点の確認と方法を検討して当該年度に適応させる。また、毎年度の重点シンポジウムでは、委員も参加して直接意見を受ける機会とする。平成29年4月27日には、国外の有識者として、フランス現代哲学者のエリー・デューリング氏を本学に招き、本事業に関連する東京研究の検討会をおこなっていて、その枠組みや視点の新規性についてすでに評価を得ている。他の成果指標としては、初年度から最終年度の間、毎年開催する重点シンポジウムの参加者数、研究会の開催数・参加者数、投稿論文数、作品発表数、報告書の刊行数を測定方法として加え、またホームページ上でアンケートを実施して、本事業のイメージ調査をおこない、好意に対する測定を実施して改善を図る。

【平成30年度】

前年度に引き続き、調査研究を通じた本事業の認知促進と評価委員会による指摘事項の改善が主な達成目標となる。とくに、この年度からは、〈実践知〉を生かした連携活動として、学内の教員や学生に加え、地元の町会や商店街、自治体、企業、中・高校との共同研究が計画されており、これ以降の年度ごとに、こうした事業の参加者数が重要な指標となる。

[具体的な成果指標と達成目標]
研究会開催回数:12回
他大学や学外機関との協働作業やイベント開催回数:2回
海外研究者との協働研究やイベント開催回数:2回
学生が参画するイベント開催回数:2回
プロジェクトメンバーの学会発表回数:10編
刊行物:3冊
(平成29年度外部評価及び自己点検・評価等をふまえ,具体的内容へ再設定。)

【平成31年度】

ここまでの成果を取りまとめて基本戦略を構築し、それを公表してブランド化を推し進めるためのシンポジウムと特別展を開催することが達成目標となる。従来通り、研究会や論文、作品、報告書の数による量的評価も測定方法の基準となるが、このシンポジウムや特別展の市民・一般の参加者数、広報・メディア等の反応数によって、本学が江戸東京研究の拠点として認知されブランド化に成功しつつあるのか、その判断を見きわめるための本事業の中間的な成果指標を得る。

【平成32年度】

この年度は、海外への認知・協同を目的に、初年度に構築した研究ネットワークを使って、連携の強化を図り、国外研究者から質的評価を受けることが達成目標となる。この年度に、それまでの3年間に対する中間評価を受ける。

【平成33年度】

最終年度は、研究の成果を多様な方法で公開し、研究成果の総括をおこない、実践的なアクションプランを実施して、ブランドを高度化し、世界に向けての拠点形成を図ることが達成目標となる。本学に江戸東京研究の拠点が形成されたことを国内外に広く公表し、同時に著書の刊行とマップの発行が実現されたかそれ自体が成果指標となる。

⑧ 進捗状況の把握方法

既に聴取した事前ヒアリング協力者からの意見を考慮し、⑦の各年度の達成目標・成果指標に対し、以下の要領で質・量の数値化、経年比較、評価をおこない、進捗状況を把握する。

すべての項目の作業状態を0(未着手)、50(作業中)、100(完了) として設定し、年度末ごとに進捗率を把握しながら、各年度の平均値70以上を目指すと同時に、経年によってその数値をあげることを目標とする。具体的な毎年度の進捗状況は、本プロジェクト全体の研究者数に対する投稿論文・作品数、および4つの各プロジェクト(水都、ユニークさ、アート、近未来)×年2回に対する実際の研究会開催数とした場合、それぞれの割合の100%を進捗率の目標として設定し、経年比較は前年度3%増(量的評価)を基準とする。重点シンポジウムの参加者数は、テーマによってばらつきが生じることが予想されるものの、基本的に前年度10%増を目標としてブランド認知の進捗状況を把握する。ホームページアンケートは、偶数の選択回答項目を設定することで〇×を明確に把握し、前年度比5%の改善を目指す。さらに、学内外の評価項目については、前年度に設定した内容に対する質・量の複合的評価から、年度初めにチェックを受けた事項の修正状況(質的評価)を前述の0/50/100の方法を応用し、各年度の平均値80以上を目指すと同時に、経年によってその数値をあげることを目標として進捗状況を把握する。

@ Hosei University
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