シンポジウム・研究会等報告

2024年2月28日「江戸東京研究センター2023年度報告会」開催報告

  • 更新日:2024年03月14日

江戸東京研究センター2023年度報告会

開催日:2024年2月28日(水)

場所:法政大学市ヶ谷キャンパス ボアソナード・タワー25階B会議室

 

2023年度報告会のプログラムは、3本の研究発表と本センターの三つのメイン・プロジェクトからの報告で構成されています。

まず、高村研究室所属の照沼和佳奈氏から、修士論文の成果をもとにした「玉川上水通船における河岸空間の場所性―船溜と都市構造に着目して―」と題した詳細な研究発表が行われました。明治初年のわずかな時期に行われた玉川通船によって造られた船溜を具体的な図面で提示し、その空間と場所性を論じたものです。

次に、一昨年より特別プロジェクトとして活動している高村研究室が中心となってイタリア側の研究者と行っている「国際共同研究-Edo Castle Misson」の成果の一部として、渡邊勢士氏・霍達氏による「寛永江戸城のCAD復元研究」が披露されました。明暦の大火以後は再建されなかった江戸城天守、幕末に失われた三の丸御殿など、これまで江戸城の模型は、江戸東京博物館をはじめ、様々なかたちで復元・展示されてきました。本研究では、それらの先行事例を丁寧に検証しつつ、図面資料を丹念にCAD図面で復元しました。これをもとに、イタリア側の担当者によって3D化されることが今後の展開となるそうです。

そして、江戸東京研究センター客員研究員の皆川典久氏より「東京発掘プロジェクト~千代田レジェンド・リノベーション」と題した報告がありました。これは、千代田区が行っている「千代田学」研究助成を受けた2023年度のプロジェクト成果でもあります。主に建築学科の学生が中心となった授業において、千代田区にある様々な外濠の遺構をもとに、まち全体を「博物館」にしよう!という試みでした。

休憩をはさみ、メイン・プロジェクトの報告です。第1プロジェクト「地理情報システムと名所の景観」(福井恒明教授・米家志乃布教授)では、今年度の作業として、中国の名所図会との比較研究、関東大震災写真帖に映し出された東京名所の地域差について報告がありました。第2プロジェクト「江戸東京の文学と都市史」(小林ふみ子教授・高村雅彦教授)では、今年度に出版された2冊の書籍の紹介と2024年2月に国際日本学研究所と共催で実施した「東京湾シンポジウム」の報告がありました。第3プロジェクト「都市の表象文化と近未来東京のデザイン」(岡村民夫教授・山道拓人准教授)では、詩人・小説家の山﨑修平さんを招いた研究会、下北沢の街歩き企画などの内容について報告がありました(詳細は、『EToS年度報告書Vol.7(2024)』を参照)。

各プロジェクトの成果や個別の研究発表だけでなく、プロジェクト相互の関係や次年度のセンターの研究活動についても意見交換が行われ、大変有意義な会となりました。

(米家 志乃布)

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