シンポジウム・研究会等報告

2019年3月9日「佐原『江戸優り』フォーラム」開催報告

  • 更新日:2019年03月13日

2019年3月9日(土)、北総四都市江戸紀行活用協議会との共催により「佐原『江戸優り』フォーラム」が千葉県香取市佐原の与倉屋大土蔵にて開催されました。
参加者は約200名にのぼり、法政大学総長、江戸東京研究センター副センター長をはじめ、地元の郷土史研究家や大学の研究者などが登壇し、江戸と佐原のつながり、佐原の住民自治や佐原の未来などについて講演やパネルディスカッションを行いました。

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 「江戸東京研究センター紹介」福井恒明/江戸東京研究センター副センター長,エコ地域デザイン研究センター長
江戸東京研究センターの概要や研究活動内容について紹介がありました。

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2 「『江戸はネットワーク』再論」田中優子/法政大学総長
江戸時代の水運、河岸の成り立ち、さらに水路流通の拠点であった佐原の特性にスポットを当て、流通革命がもたらす「人」や「モノ」のネットワークが文化や技術の革新を生んでいた江戸時代の姿を、様々な図像資料を基に実証的に考察しました。

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3 リレー講義「近世在方町佐原と伊能忠敬」酒井右二/伊能忠敬翁顕彰会
近世の佐原の街の様子や、近在だけでなく近江など遠くからの入込商人も柔軟に受け入れていた佐原の住民組織体の形成、さらにその住民自治の礎をつくった伊能忠敬について、当時の地図や資料を具体的に提示しながら考察しました。

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4 リレー講義「佐原の観光資源と住民自治」小笠原永隆/帝京大学准教授
佐原の観光資源と魅力は、重層的な歴史文化の蓄積のみならず、近世から続く住民自治の特性が現在も受け継がれているためであるという考察が提示されました。

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5 パネルディスカッション「佐原の現在と未来」
コーディネーター:小島聡(法政大学人間環境学部教授)
パネリスト:福井恒明(前出)酒井右二(前出)
コメンテーター:田中優子(前出)
基調講演やリレー講義で取り上げられた近世から現代にかけての佐原の姿をふまえた上で、これからの佐原の在り方について活発な意見交換が行われました。
「佐原と水の関係を水都という視点で今後強調していってはどうか。」「佐原の魅力は来るたびに少しずつ変わり続けていることである。」「佐原らしさを失わずに変わり続けるために守るべきものをどう定義していくべきか、祭りに象徴される強固な住民自治の精神がその役割を担っていくのではないか。」「今後の日本が直面する地方自治の危機を乗り越えるヒントが佐原の自治の形にあるのではないか」「『変化しながら持続する自治力』を持つ地域としてこれからの日本のモデルになってほしい」といった意見が出されました。

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