シンポジウム・研究会等報告

2019年3月23日,江戸の基層シンポジウム「古代・中世の府中から武蔵国を探る」開催報告

  • 更新日:2019年06月26日

 2019年3月23日(土)、江戸の基層シンポジウム「古代・中世の府中から武蔵国を探る」が開催されました。会場は法政大学市ヶ谷キャンパス富士見ゲートG201教室で、参加者は109名でした。

 はじめに、法政大学江戸東京研究センター(EToS)の横山泰子センター長より開催挨拶がありました。江戸の基層シンポジウムは、昨年、センター設立早々の時期に「水都ー基層構造」プロジェクトの主催で開催されており今回が2回目となることなどが紹介されました。

 引き続き当センター客員研究員の神谷博から趣旨説明がありました。今回は武蔵国の国府としての府中に焦点を当て、府中市から二人の講師を招いて実施し,古代につくられた東山道武蔵路と府中の関係や水系構造と社会構造を合わせて議論していきたいという狙いについて説明がありました。

 講演の1つめとして、府中市ふるさと文化財課課長の江口桂氏より「古代武蔵国府とその周辺」というタイトルでお話を頂きました。江口氏の講演の目指すところは、「古代武蔵国の国府はいつ、どのように成立し、地域の中でどのような役割を果たし、それがどう変わっていったのか、考古学の立場から検討する」とされ、律令制の変質とともに、公の地方官衙としての国府から、在地社会の中で維持管理・運営できる地域の実態に即した国府への変容が表れている、とまとめられました。

 2つめの講演は、府中市郷土の森博物館館長の小野一之氏より「江戸の基層としての中世武蔵府中-祭礼・古戦場・歌枕-」と題してお話しいただきました。はじめに中世の武蔵府中を概観したうえで、江戸名所図会の歴史的世界、武蔵総社の祭礼、分倍河原の古戦場、歌枕としての武蔵野・多摩川、と話を進め、おわりに武蔵国の古層として「浅草寺縁起」説話に触れ、武蔵国府の外港は品川か浅草か、という興味深い投げかけがなされました。

 次に,二つの講演を踏まえ、パネルディスカッションに移りました。パネリストとして、講演者の江口氏、小野氏に加え、法政大学江戸東京研究センターから陣内秀信特任教授、根崎光男教授、神谷博兼任講師が加わり、コーディネーターとして高村雅彦教授が進行役となり活発な意見交換が行われました。

 最後に、法政大学エコ地域デザイン研究センターの福井恒明センター長より挨拶があり、盛会のうちに閉会しました。

ページトップヘ