2019年12月8日,法政大学小金井キャンパスのマルチメディアホールにて「講演+座談会 江戸の天文学」が開催されました。
今回は、天文学者の講演と江戸文化研究者をまじえた座談会の二部構成で行われました。
中村士 元帝京平成大学教授による講演「江戸の天文学 西洋科学受容のパイオニア」では、古代から中国の学問一辺倒だった日本において、徳川吉宗の時代に西洋の科学技術を学ぶ道が開かれ、西洋天文学の知識が改暦に生かされたことや、天文学を一般庶民に啓蒙する遊歴の天学家がいたことなどが豊富な資料とともに示されました。続いて、田中優子法政大学総長のコメントにより、学者たちの知的発見が当時の人々の生活文化の中に入っていったことが指摘されました。
さらに座談会では、中村教授、田中総長に岡村定矩 元法政大学理工学部創生科学科教授が加わり「天文学の場 江戸東京」のテーマで、文理をこえたトークが交わされました。江戸の天文学が暦や地図の作成や算額などにかかわる総合的な学問であったことが確認されるとともに、その後、東京特に小金井周辺の西東京でどのように展開したかが語られました。小金井キャンパス周辺には、国立天文台、情報通信研究機構、多摩六都科学館などがあり、天文学の場としての地域の個性が明らかになりました。
さらに、法政大学理工学部創生科学科で行われている天文研究や活動が紹介されました。江戸東京研究センターの企画としては初めて、理工学部・生命科学部・情報科学部のある小金井キャンパスでの開催となった本イベントでは、都心部ではできない調査研究や地域連携の可能性が示されました。(横山泰子)
--------------当日の録画を公開しています--------------
1 中村士「江戸の天文学 西洋科学受容のパイオニア」
2 田中優子 講評
3 座談会