シンポジウム・研究会等報告

2021年10月23日 江戸東京アトラスプロジェクト・ワークショップ開催報告

  • 更新日:2021年12月07日

江戸東京アトラスプロジェクト・ワークショップ
日時:2021年10月23日(土)13時~17時 
場所:法政大学デザイン工学部 田町校舎スタジオHAL 参加者30名

 「江戸東京アトラス」プロジェクトでは「名所の変遷から江戸東京の基層を探る」をテーマとし、デザイン工学部の福井恒明教授と文学部の米家志乃布教授の研究室協働による江戸東京アトラスの作成を行っています。今回のワークショップでは、江戸時代の浮世絵や東京名所図会・東京案内に描かれた内容やその特徴を地図上に表現した結果をもとに,江戸・東京の名所の特質と変遷についてディスカッションを行いました。

 まず、プロジェクトリーダーの福井恒明教授から、本プロジェクトの趣旨説明があり、最初に、『名所江戸百景』にみる江戸の周縁領域認識と題し、デザイン工学部景観研究室のグループによる発表が行われました。史料を構成する個々の浮世絵に描かれた「地」の風景に対する視点・視対象分析にもとづいて、江戸の周縁領域に対する人々の認識を明らかにする試みです。江戸周縁部がどのように描かれ,それがどのような意味を持っていたのかを考察しました。次に、同じく景観研メンバーにより、明治初期における水の地図として、赤坂を事例として、小河川や湧水を復元した地図のプロトタイプが披露されました。

 続いて近代東京がテーマです。米家ゼミのグループは、『新撰東京名所図会』『東京近郊名所図会』『大東京案内』に取り上げられた名所の分類や分布について地図上に表現し、これらをもとに、江戸に由来する寺院・神社などの名所と近代以降の新しいモダンな名所(学校や橋など)の変遷について議論しました。大学院歴史地理学研究のメンバーは、『江戸史蹟』『東京史蹟』の史料にもとづき、史蹟の分布変遷を明らかにしました。戦後における東京都文化財の分布傾向も補足説明がありました。

 当日の議論では、学部生11名、大学院生11名の参加のもと、田中優子特任教授、陣内秀信特任教授をはじめ、森田喬名誉教授、横山泰子教授、小林ふみ子教授といった江戸東京研究センター所属の先生方から多くのアドバイスやご意見をいただきました。学生グループによって、すべての発言はオンラインホワイトボードのmiroに記録され、最後に、それをもとに議論のふりかえりも行いました。

 これらの成果は、引き続き地図表現のブラッシュアップを行い、オンライン上での成果の公開とともに書籍化についても検討されることになりました。当日、参加してくださった先生方、学生・院生の皆様、事務局に感謝いたします。(米家志乃布)

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