江戸東京研究センターのブランディング事業は、個々人の研究の推進や外部との連携だけでなく、学生を中心とする学内への周知とその魅力的な世界への誘導、いわゆるインナーブランディングが欠かせない。このことは、将来の江戸東京に関わる研究者や社会人の育成という意味でも重要なミッションである。
そこで、デザイン工学部では、学部2年生が主体となり、修士課程の大学院生がアドヴァイザーとなりながら、自分たちの視点で、「新しい東京の地図」を作るという演習の講義を行っている。
世界の様々な地域にあって、その土地に根差す都市や建築の独自性のあり方は実に多様である。しかしながら、自分自身が物を見て判断するための「モノサシ」を各自が持っていなければ、何を見て、どのように評価するのかがわからない。この講義では、東京をテーマに、自分自身で重要と思うまちや建築、地域、空間を選び出し、そこの独自性を読み解いて、それをマップ化することにより、その「モノサシ」を各自が身につけることを目的としたものである。 同時に、東京のさまざまな地域の多様な資産を掘り起こし、そこに光を当てて価値づけて提示する作業でもある。その成果をセンターにおける学内活動の一つとして紹介していきたい。
(高村雅彦)2018.05.29